’06年は外国語映画を日本語吹き替えで放送し始めてから50周年の節目の年でした。1956年に放送された米国のTVドラマ「カウボーイGメン」が最初の吹き替え作品。当時はまだテレビの画面が小さく、字幕が合わなかったこと、子供たちからお年寄りまで楽しめるには吹き替えが一番だったと当時の関係者が語っています。

その頃は生放送が主だったため、役者は声を当てるのがそれはそれは大変だったそう。声優という仕事も確立されていない時代、「外国人がうまく日本語をしゃべっている」と勘違いするおばあさんがいるくらいだったという有名なエピソードもあります。

でもそれは、声優が画面に出ている俳優の息づかいや微妙な表情を感じ取り、雰囲気をこわさないように自然な日本語を吹き込んだから。声優の技術と演技力のたまものだったんですね。こうした芸達者な声優の演技は「名口調」と呼ばれて親しまれるようになりました。例えば、「刑事コロンボ」でコロンボが「いや、うちのカミさんがね…」という口調はとても人気になりました。

僕は親戚の子など、子供と一緒に映画を見に行くときは、吹き替え版があればそちらを必ず選びます。字幕では笑わない子供でも、吹き替え版で見るとキャハハと笑って観てくれるんです。正直、外国のギャグなんて、分からないことも多いですから。それに、外国の方の演技の良し悪し、皆さんはどのくらい分かって観てますか? そりゃー、アル・パチーノやジャック・ニコルソンの演技がスゴイということぐらい僕にだって分かりますが、実際、そうでもない人の方が多いわけで。それなら、字幕版にこだわるより、演技力の高い声優による吹き替え版で、字幕とはひと味もふた味も違った情感を味わうのもまた楽しみ方のひとつだと思うわけです。



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